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車が泥んこにスタック。引っ張ればでるかな。

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車が泥んこにスタック。引っ張ればでるかな。

「雨の日にカーナビに従って農道を走行してたら、畑にタイヤが落ちて動けなくなった。」
スタックと落輪が組み合わさると、なかなかやっかいです。
ロードサービスカーは重いですから、未舗装道路に立ち入らないように気を付けましょう。

マイケルがジェームズから、スタックから脱出の説明を受けます。

マイケル 新入社員 マイケル

入社したての新入社員。年齢は29歳。最終学歴は高校の普通科卒。中型免許は持っていない。ニートをしていたが、遊ぶ金欲しさからハローワークで求人募集していたロードサービス業者「じょぶレッカー」で働くことにした。

ジェームズ ベテラン社員 ジェームズ

年齢は45歳。ロードサービス・レッカー歴9年のベテラン。保有資格は大型免許、小型移動式クレーン、玉掛けなど。

どうしてタイヤが空転する?

ジェームズ

ジェームズ「マイケル。今日はスタックの対処方法を説明するよ。」

マイケル

マイケル「そもそもスタックってなんですか。」

ジェームズ

ジェームズ「スタックは、クルマで未舗装道路や凍結している道路を走行していて、タイヤ(駆動輪)が空転して動けなくなってしまう状態だ。
未舗装道路っていうのは、アスファルトが敷かれてない道路のことだ農道や砂浜も含まれるぞ。
未舗装道路でも地面が乾いてるときは普通に走行できても、雨が降ってぬかるんだ状態で入ってしまうとスタックしてしまうことが多いんだ。だからスタックは雨の日か翌日に多いんだよ。

マイケル

マイケル「へーそうなんですね。でも雨の次の日に農道を走れなかったら、農家の人とか大変じゃないですか?」

ジェームズ

ジェームズ「ふむ。それはとってもいい質問だ。実はスタックしやすいクルマとし辛いクルマがあるんだよ。
どうしてタイヤ(駆動輪)が空転してしまうかというと、氷や水を含んだ泥の上では摩擦が著しく落ちてしまうんだ。
これを対処する方法としては、

  • 低い摩擦でも動けるように、車重を軽くする。
  • 摩擦力を上げるために、タイヤに突起物(タイヤチェーン)をつける。もしくは太いタイヤを履かせる。
  • 駆動輪を増やす。
  • 摩擦力を上げるために、クルマの駆動輪側を重くする。
  • 駆動輪を使わずに、クルマに推進力を加える。
  • 駆動輪の下に板などを挟み、摩擦力を上げる。


農道でも悠々と走行できる軽トラの特徴と装備について考えてみよう。

  • ものすごい軽い。
  • 4輪駆動のものがある
  • デフロックできるものがある。
  • ものすごい軽いとタイヤ(駆動輪)と路面との摩擦力が落ちていても、スタックし辛いんだ。そして、ものすごい軽いことのメリットだが、路面の中に沈みづらいんだ。
    濡れた農道というのは、かなり地盤が緩いんだ。重いトラックなどが入ると、一瞬にしてトラック自身の力ででれなくなる位まで沈んでスタックしてしまう。
    どうして沈むとスタックしてしまうのかというと、沈んでしまった分を登る力(摩擦力)が必要になるからなんだ。
    ただスタックしただけなら、振り子みたいに小さく前進と後退を繰り返してれば脱出できる可能性もあるが、沈んだら無理だと思ったほうがいいだろうな。」

    沈んだスタック脱出に必要な力

    沈んだスタック脱出に必要な力

    マイケル

    マイケル「4輪駆動とデフロックとかいうのは、どうしてスタックし辛いんですか。」

    ジェームズ

    ジェームズ「ふむ。スタックから脱出するのには、摩擦力が必要というはわかってくれたかな。摩擦力を増やすには前の部分でも触れたが、太いタイヤを履かせる、駆動輪を増やすことで路面とタイヤとの接地面積が広げることができる。
    4輪駆動の場合は、前輪、後輪どちらかがまだスタックしてない状態であれば、大きな力を発揮することができる。スタックしてないタイヤなら大きな摩擦力を手に入れることできるからね。
    またデフロックについてだが、これの説明をする前にまずはデフ(ディファレンシャルギヤ)がなんなのか知ってほしい。
    クルマはまっすぐ走っている時は左右のタイヤの回転数は同じだが、曲線を描いて走行している時はタイヤの回転数は左右で違うんだ。
    例えば右に曲がる時に、左のタイヤは曲線の外側(アウトコース)なので走行する距離も長く回転数が多い。
    右のタイヤは曲線の内側(インコース)なので走行する距離が短く回転数が少ない。
    この左右の回転差に応じて力を左右に振り分けるのがデフの役目だ。
    ここまで大丈夫かい。」

    マイケル

    マイケル「いや、全然意味が分からないです。そのデフと摩擦力がどう関係があるんですか。できたら難しい話はしないでください。」

    ジェームズ

    ジェームズ「デフがなくてもクルマは走行することはできるんだよ。
    ただカーブを曲がったときに左右の回転差を無視して駆動輪側の左右のタイヤが同時に回るから、異音もすごいしタイヤは滑るし乗り心地も悪くなるわけだ。
    ところでこのデフが駆動輪がスタック状態でどう働いてくれるかというとな、左右の回転しやすい方のタイヤ(摩擦力が少ない)方のタイヤだけを必死に回してくれるんだよ。
    もうこれは半分嫌がらせみたいなものだ。そこでこの、デフに働かないでもらうのがデフロックなんだ。左右のタイヤが両方回ることによって摩擦力があがるわけだ。
    だから、軽くて4輪駆動でデフロックがついている軽トラは農道で最強ということなんだぞ。
    ただ軽トラでも4輪駆動とデフロックがついてるのは一部だがな。
    またLSD(リミテッドストップデフ)というものがあって、これも片方のタイヤだけ空転するのを防ぐことができる。」

    マイケル

    マイケル「わかりました。だからそういう装備がついてないクルマが農道にいくとスタックしてしまうんですね。」

    どうやってスタックから脱出するか

    ジェームズ

    ジェームズ「スタックした現場で、タイヤを履き替えたり、その場でタイヤチェーンをつけたりするのは現実的ではない。駆動輪を使わずに外部からクルマに推進力を与えるのが一番手っ取り早い。つまりウィンチで引っ張ってしまおうということだ。」

    マイケル

    マイケル「レッカー車を目の前につけて、引っ張ればいいんですか。」

    ジェームズ

    ジェームズ「いや、目の前まで入れるなら構わないんだが、基本的にレッカー車で未舗装道路を走行することはお勧めできない。なぜなら、レッカー車は重いからなんだ。積荷満載のトラックのようなものだ。
    すぐに路面が沈んで、スタックしてしまう。ただ雪国で使っているレッカー車は4輪駆動でLSDがついてるものが多い。またアウトリガー、アンダーリフト、ウィンチ、クレーンはいずれも自分自身がスタックした時に脱出の大きな力にすることができる。そういったこともあって、様子をみながら未舗装道路を走行することもある。」

    マイケル

    マイケル「人がスタックした場所に、わざわざ自分もスタックしにいったら悲しいですもんね。でもクルマの近くまでいけないとなるとウィンチを伸ばして使うんですか。」

    ジェームズ

    ジェームズ「そういうことになる。ウィンチワイヤーの長さは、ものによっては違うが30m~50m位のものが多いと思う。それ位ないと未舗装道路を奥まで入ってしまったクルマを引くのは難しいからな。もし、それでもウィンチワイヤーの長さが足りなければ手持ちのスリングベルトを使って延長することもできる。」

    スリングベルト

    スリングベルト

    マイケル

    マイケル「それでも足りなかった、どうするんですか。」

    ジェームズ

    ジェームズ「ふむ、いい質問だ。実際にレッカー車が近寄ることができない現場というのは、いくらでもある。そういう場合は、4輪駆動の乗用車やキャタピラで駆動する重機で現場に向かったりすることもある。
    また、クルマの周りに硬い柱や大きな木がある場合は、それらを支点にしてウィンチを使わずにチェーンブロック(ガッチャ)を使用してクルマを引くこともできる。ただし、それをやる場合は地主の許可が必要だ。」

    マイケル

    マイケル「レッカー車でなんでもできるわけじゃないんですね。」

    ジェームズ

    ジェームズ「そういうことだ。そしてクルマをウィンチで引っ張る時だが、方向がとても大事になってくる。」

    レッカー(ウィンチ)ブームでスタック脱出

    レッカー(ウィンチ)ブームでスタック脱出

    ジェームズ

    ジェームズ「今回は前輪が地中に埋まっているので、クルマの前側からウィンチで斜め上の方から引いている。
    なぜ斜めから引くかというと、埋まった地中からクルマを脱出させる為に上方向からの力も必要になるからだ。
    ただ上方向に引っ張り上げるだけでは前輪が浮いてしまうだけなので、前方向への力も加え斜めから引くことになる。

    マイケル

    マイケル「もし単純に前からウィンチで引いたらどうなるんですか。」

    ジェームズ

    ジェームズ「それは地面の状態によっても、かわってくるんだ。
    地面が多くの水分を含んでいる場合には、クルマが泥をかき分けながら前進してくるかもしれない。泥をかきわけながら前進してくる分だけ抵抗が大きくなる。
    抵抗が大きいとどうなるかというと、

    • クルマとウィンチワイヤーを繋げている部分(けん引フック、ロアアームなど)への負担が大きくなる。最悪の場合は、変形、ちぎれる。
    • ウィンチワイヤーへの負担が大きくなる。最悪の場合は、切れる。
    • ウィンチの巻き上げ能力より抵抗が大きい場合は、巻けなくなる、ウィンチ内部ギヤ、減速機などの破損。
    • レッカー車(ロードサービスカー)が動く(滑る)、浮く。横引きの場合は、横転。

    また、ちぎれた部品や切れたウィンチワイヤーが、飛んでいった場合には作業スタッフなどもケガする恐れがある。
    乗用車クラスのぬかるみスタックで最悪の事態に陥ることは珍しいが、常に安全に配慮をして作業するべきだろうな。

    トラックのぬかるみスタックなどは、車重が重い分どうしても抵抗が大きくなる。そういう時には、以下の対策をする。

    • けん引フック、ロアアームなどがちぎれても飛ばないように、テンションが掛からない状態で他の強度がある部分にもスリングベルトなどを使いワイヤーのフックを繋げておく。
    • けん引フック、ロアアームなど一カ所に負担が集中しないように、引く場所を分散させる(二股チェーンなど使用)。
    • ウィンチワイヤー、ギヤ、減速機などを保護する為に動滑車を複数使う。
    • ウィンチワイヤー、ギヤ、減速機などを保護する為に複数のウィンチを使う。
    • 中型レッカー車(ロードサービスカー)が動かないように、サイドブレーキとは別にマキシブレーキがある場合は使う。
    • レッカー車(ロードサービスカー)が横転しないようにアウトリガーを張り出す。
    • レッカー車(ロードサービスカー)への負担を分散させる為、別のレッカー車(ロードサービスカー)も使う。

    マイケル

    マイケル「トラックがぬかるみにスタックすると大変なんですね。」

    ジェームズ

    ジェームズ「そういうことだ。レッカー(ウィンチ)ブームを使い斜め上から引くことで抵抗を減らすことができるが、それ以外の方法でも抵抗を減らすことができる。」

    出口の角度と抵抗

    出口の角度と抵抗

    ジェームズ

    ジェームズ「見た目から想像できる通り、出口の角度が浅い方が抵抗は低少なくなる。だったら、スコップを使い地面を掘って、出口の角度を浅くすればいいんだ。引き出す時に、土などでバンパーを損傷させない意味もあるぞ。長靴が必須になる作業だ。
    また、地面が緩くウィンチで引いてもすぐにタイヤが沈んでしまう場合には、大きな板(木、プラスチック、鉄)を敷くといいんだ。タイヤより小さい板だとすぐに沈んでしまうので、できるだけ大きな板のほうが作業がしやすくなるぞ。

    ちなみに、これらはタイヤが回る前提だ。事故で吹っ飛んで畑や田んぼの中にいるなら、クルマが横転してたりタイヤがフレームごとひん曲がっていることもある。
    そういう時はクレーンで吊り上げるか、レッカーブームなどで引っ張るしかないぞ。」

    マイケル

    マイケル「ぬかるみのスタックはなんとなくわかった気がします。ちなみに雪道とか凍結した道も似たような対処法なんですか。」

    ジェームズ

    ジェームズ「うむ。凍結してない雪道だったら、タイヤが進む方向の雪をスコップで除雪してやるといいぞ。それで自走できなければ、走れそうなところまでウィンチで引くといい。
    凍結している道での作業は大きなリスクが伴うことを覚悟したほうがいい場合があるぞ。」

    マイケル

    マイケル「つるつる滑るからですか、坂道とか止まらなそうですね。」

    ジェームズ

    ジェームズ「その通りだ。だけど舗装された道路は水捌けをよくするために、傾斜がつけられている。この傾斜で滑ることもあるぞ。」

    道路の傾斜により壁による

    道路の傾斜により壁による

    マイケル

    マイケル「これ、もうダメな状態ですよね。」

    ジェームズ

    ジェームズ「クルマのハンドルを反対の壁側に向けて、ウィンチで引っ張っても、そのまま壁によっていく可能性がある。それを防ぐ為に、まずはクルマを横にウィンチで引っ張るんだ。横に引っ張る際は、前後ホイールを使うことが多い。
    横に引っ張る際に、顧客の損傷に気を付けることは

    • ホイールの変形、損傷。特に細いスポーク、メッシュのアルミホイール。ワイヤーは不可。
    • ロアアーム、ストラットなどフレームの変形、損傷。
    • 摩擦によるタイヤのパンク。

    タイヤが本来なら回らない方向にクルマを無理やり引っ張るのだから、大きな摩擦(抵抗)が発生する。なのでレッカー車(ロードサービスカー)側の損傷も気を付ける必要があるんだ。この場合も、摩擦(抵抗)を減らす為にレッカーブームなどを使い、上方向の力を加えることが有効だ。また、路面が濡れてたり、凍結してる場合は、かなり摩擦(抵抗)が落ちるので、作業はやりやすくなる。

    マイケル

    マイケル「摩擦とか抵抗とかなんか難しそうだから嫌いです。」

    ジェームズ

    ジェームズ「クルマを横に引くことは、いろいろな場面でやるんだぞ。例えば、

    • ぬかるみ、雪道でのスタックでクルマを向かいたい(脱出できる)方向に向きを変える。
    • 事故でふっとんだクルマを、積み込み作業できる場所まで引き出し。
    • 内輪差で障害物を大きく巻き込んだ場合に、クルマを障害物から引き離す。

    などだ。
    今回、摩擦とか抵抗とか物理のお勉強みたいな言葉を使ってしまったが、私自身 物理の知識は全くないから安心してくれ。だから多分用語の使い方も間違えてる。だから、練習して体で覚えて頑張ってくれ。」

    マイケル

    マイケル「わかりました。頑張ります。」

    スコップを使用して、泥や雪を除く作業は体力を使う仕事です。スタックは、雨が降ったり雪が降らなければ頻繁にやる仕事ではないないですが、雲行きが怪しくなってきたら準備をしといたほうがいいですね。
    困っている人を助けるロードサービスはやりがいのある仕事です。未経験の方もぜひチャレンジしてみてください。全国のロードサービスの求人みてくださいね。